農場HACCPは、畜産農場における衛生管理を向上させるため、農場にHACCP(※)の考え方を採り入れ、危害要因(微生物、化学物質、異物など)を防止するための管理ポイントを設定し、継続的に監視・記録を行うことにより、農場段階で危害要因をコントロールする手法です。
HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)とは
最終製品の抜取り検査に加え、原料の入荷から製造・出荷までの全ての工程において、
(ア)あらかじめ危害を予測し、
(イ)その危害を防止するための重要管理点を特定して、
(ウ)そのポイントを継続的に監視・記録し、
(エ)異常が認められたらすぐに対策を取り解決することにより、不良製品の出荷を未然に防ぐ衛生管理の手法。
農林水産省では、消費者に安全な畜産物を供給するため、農場HACCPの取組を推進しています。
(出典:農林水産省家畜の生産段階における飼養衛生管理の向上について(農場HACCP等)から)
メリットとして、認証されますと、HACCPシステムを取り入れて家畜を管理していることで、危害を未然に防ぎ事故を防止するとともに、緊急事態にも対応できるマニュアルも定めていることで家畜の安全や畜産物の安全も担保されるようなシステムを構築している等畜産物や家畜の安全が確立されていることが認証されることを説明が出来ることや、検証をすることで絶えずシステムが効果的に運用していることを第三者が客観的に認証して安全な畜産物を生産している証明にもなる制度と言えます。
JGAP畜産を取得予定の方は、農場HACCP認証をお持ちですとJGAPの認証内容「アニマルウェルフェア」「人権の尊重」「労働衛生」「環境保全」「農場管理」「食品安全、家畜衛生及び法規制」等、主な6項目のうち、「食品安全、家畜衛生及び法規制」は農場HACCP認証のある場合は該当箇所の審査は「適用外」とし、審査の対象から外しますので大変有利になります。
(今後も畜産家の皆さんにとって重要なシステムになるものです)
商品の選択の際の基準にもなる農場HACCP認証ですが、今後ますます重要になることでしょう。それは、畜産環境の変化がめまぐるしく変わり、病気が発生し法令改正に対応できるツールでもあるからです。代表的な飼養衛生管理基準は現在令和2年改正されたものが運用されています。
畜産に携る方全てに対し遵守しなければならない事項ですが、農場により対策はまちまちです。現実家畜保健衛生所から指導を受ける方もいましょう。
しかし、農場HACCP認証ではその法令に対応したシステムを構築しますので国が求めている基準を満たし病気の発生や拡散の防止に貢献できる認証制度でもあります。
一つ前の平成29年版は、亡くなった家畜の保管方法やその家畜の搬出について新設されたものですが、令和2年改正版ではいくつか新設・変更があります。例えば農場に柵を設けたり、飼養管理者の設定等全く新しい変更があります。
飼養衛生管理基準は皆さんが遵守すべき事項ですが、このように概ね3年~5年目安に改正があります。
改正前には変更について説明等告知がなされますが、農場HACCPを取得している又は目指している農場ではこのような最新情報を積極的に収集しており反映させるような仕組みをもっています。
このように、病気発生に対しての対応策を飼養衛生管理基準は求めてきますし、私たち畜産に携る者はそれを遵守し病気の発生を防ぎ、家畜の安全を守る。それは当たり前の事でもありますが、そのように取り組むことが難しい農場もある中しっかりと対応が出来ていることをアピールできます。
畜産物の安心は、GAPのように製品認証だけではありません。その根底を支えるのが農場HACCP認証でもあります。縁の下の力持ちではありませんが、病気を発生させない環境を整えている農場でもあることを知っていただきたいですし、今後その認証の価値はますます上がることでしょう。
食品衛生法ではHACCPの考えを取り入れた制度にすることを求めています。しかし農場の飼養衛生については義務化されていないのでそこまで考える方も多くないのが実情です。
しかし、フードチェーンの最も終端部にある消費者に提供される分野にHACCPがあるのに、上流である生産分野にはHACCPの考えはなくても良いということは今後ないでしょう。
農場HACCP認証はその部分を満たしていると言えます。
ブログにも、農場HACCPについてご紹介しております。是非ご一読いただき私どもの農場HACCP認証の大事なことをご理解いただければと思います。
また、費用やどのように構築するのかお知りになりたい方は是非ブログをご覧ください
認証マークの活用について検討されている方は、こちらのブログもご覧ください。
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