技術なくして発展なし。よく言われる言葉です。
養鶏は畜産業の中で最も効率化・鶏種改良・飼養管理技術それぞれが最も進んだ産業と言えます。
昔の庭先飼育であったニワトリ(庭先の鶏ということでしょうか)ですが、今では養鶏家の大事な収入源であり、安定した経営を支えています。
飼育技術はあまり必要ないと言われ、育種メーカーの改良にともなう管理技術方法に従うことで大きな事故なく安定した生産が可能なのでしょう。
しかし、安定しているかといえば問題点が個々の農場にあるはずです。
それは、鶏病が良く見られるようになった。
生産量が以前に比べ少なくなった。
生産重量が少なくなった。斃死が多い。等多くの問題が見られます。
鶏に起因しなくても、吸血昆虫が多く、鶏や従業員のストレスが多い。
鶏糞の排出が以前に比べ少なくなって、たい肥場が満杯。
機器類の故障に対応できるスタッフが少ない。
そもそも基本的な管理ができる人材が少ない。
最低限はできるが気づくような人材がいない。等やはり個々は小さいでしょうが問題点があるはずです。
恐らく養鶏技術といえば、生産性の向上、生産重量の増加や目標卵重の維持方法、飼養摂取量の減少によるコスト削減、換気や保温の技術と現金に直結するものをイメージされると思います。
確かに、技術であるのは間違いありません。
しかし、先に触れましたが鶏種改良が進み育種メーカーの改良に従わない飼養管理は多くの養鶏家が取り組まれていますが、多くは改良と呼ばれるほどの改善が見られず、又生産性の低下、
生産重量の低下、斃死の増加と意図しない結果になることも多いと肌で感じます。
今お話した失敗は「飼養管理技術」といわれ、通常の管理では行うことが出来ない高度な技術を必要とします。
高度と言っても、専門知識や獣医師資格がいるわけではありません。
専門知識はあったほうが良いでしょうし、鶏病を誘発するくらいの失敗を見直すためにも獣医師資格はあったほうが良いのは事実です。
専門知識とは、養鶏場に長く勤めている管理者の知識やコンサルタント技術者からの指導もありましょう。
また、小規模の養鶏家が専属獣医師を雇用することは非常に大変です。それに見合う費用を捻出できるか。それ以外にも病気確定のためのラボも用意するとなると、現実的に困難でしょう。
だからこそ、外注化が進んだ産業ともいわれ、管理獣医師として月1,2回訪問指導の顧問契約したり、検査機関へ検体を送付し結果を確定して対策を講じています。
飼養管理技術に関しても、コンサルタントに依頼し専門知識や技法を伝授したりと固定費となる事案をうまく分散しています。
その他、ワクチン接種の外注化、水洗業務の外注化、場合により鶏舎管理の外注化もありましょう。
さて、養鶏の技術は多岐渡る技術の総称であることをお話しました。養鶏家により、求めている技術は1つや2つ等複合的に必要となる方もいます。
全てを1つのコンサルタント会社に依頼できれば良いですが、大まかに分けて2つの専門家いるということをお話します。
1、飼育技術や飼養管理技術を教える会社
一般的に多いコンサルタント会社でしょう。初歩の養鶏から応用技術まで幅広く対応できる会社で、関東にそのような会社が見られます。
獣医師が指導することが多く、衛生管理向上にも寄与できる会社もあります。
総合コンサルタントとして多くの養鶏家に支持されている会社であり間違いのない選択肢になりましょう。
2、人材教育までを行う会社
一見、関係ない会社と思われます。畜産業では認知度はほとんどありません。しかし技術を会得すること、自ら考える力を養うことはコンサルタント会社では教えません。このような人材を教育する会社です。
教わることが分からず結果活用できないことが現実あります。
その原因が、教わる準備が出来ていないことで教わり結果わからず活用できない。というものです。
経営者の方はコンサルタント会社の方と十分な対話が可能でしょう。
しかし、従業員はいかがでしょうか。私のブログにも書きましたが「人は興味のないことには、とことん興味がない」という現実があります。
今お話ししましたが、自ら考える人は、知識を得るために個人的な努力をしています。それは、専門書を読んだり、知識のある方に相談したりします。
しかし、農場によりましょうが相談相手がいない。疑問を解決できる人がいないことで、分からず結果諦めたり、間違った対応を王道と勘違いすることもあります。
教える際には、万人向けに分かりやすく教える必要がありますが、個人差があり現実的ではありません。
ですから、分かるための準備を自社であらかじめ行い、コンサルタント会社の貴重な情報を得ることが正しい活用法だと思うのです。
よくある失敗事例として、
分からないのにセミナーに行かせて活用できなかった。という話や、
指導が分からず言葉の端をつないで勝手な解釈を作り間違った技法を確立してしまう。という現実、
経験が乏しいのに、思い付きともいえる管理を提唱し、現実化したら生産性が著しく低下した。という虚栄心からくる失敗。
良く聞かれるものですが、基本は「人材教育」がないことの失敗例です。
私たちは、人材教育を大事にしています。それは「基本なくしての応用はない」という考えのもと、学ぶための準備や学ぶ意欲を学んでもらいたい。
そして、応用と呼ばれる「セミナー」「発想からくる具現化」と発展してほしいと思います。
失敗は成功のもとといいます。これは、失敗から何かを学び次に生かすことで成功を導くものとしてよく使われます。
しかし、何も考えない失敗は成功のもとにはなりません。
むしろ失敗は失敗のもと。やることがむしろ弊害となるという現実があります。
1ロット(例えば5万羽)が失敗した場合、失敗したので明日廃鶏とはなりません。
生産性が低下した場合、例えば95%生産性あったものが、90%まで低下した場合の損害はたかが5%でしょうが甚大です。それが1日当たりだったらどうですか。
2500羽が損害を受けたと計算が出来ます。つまり2500個程度の鶏卵生産を損失したという現実があります。
鶏卵1個が60gとして2500個の損失150㎏となり鶏卵価155円として23250円/日となります。それ以外にも生産に要した人件費・飼料代金他もかかります。
少ない分だけ安くあがることはないでしょう。
1カ月回復ない場合69万円の減収となり、どれだけの期間かわかりませんが廃鶏や強制換羽まで続くとしたら・・
先ほどお話しました。養鶏は鶏種改良が進み通常は大きな損失を出すような管理さえなければ安定した生産が可能です。これは現実です。
ですから、鶏が悪いとか鶏種がそうなるのだという論理は基本あり得ない話をされていて、現実逃避か管理者を擁護した発言に思うのです。
もしそれが現実であれば、世の中の養鶏家が育種メーカーに苦情を出してしまうでしょうし、鶏卵が不足して高騰してもおかしくありませんが、実際はどうでしょうか。
結果は現実の総括である。ある人はいいます。
私もこの世界にいて学びました。時にはこのような非情な結果に直面して知恵を総動員して考えたこともありました。
しっかりした会社であればこの言葉の重みが伝わります。
それで年俸が変わるところもあり真剣にそしてどん欲に改善方法を探します。
しかし、従業員が管理する会社であれば、責任者が真剣に悩み改善方法を模索しても伝わらないかもしれません。
それは、「人は興味のないことには、とことん興味がない」という言葉の通り「はい。わかりました」と言いましょうが、伝わらないのです。
ですから、失敗する(学習しないので繰り返す)のです。
よく言われる「何度同じことを言わせるのか?」という質問をされる方もいましょう。
しかし、理解したいというより、この場を去りたい。という考えが多いのかもしれませんし、解決方法が探せない方なのかもしれません。
しかし、会話からそれを読み取るのは大変でしょうし、そんな時間を割く余裕はないかもしれません。
だからこそ、学ぶための準備である「教育」が必要なのです。
繰り返しになりますが、教育は多岐に渡る指導の総称です。全部はいらないかもしれません。
しかし、何かが足りないときの原因はここが起点となることが多いのも現実です。
畜産業を知る私たちだからこその着眼点でもあるのです。
このコラムを読んでいただいている皆さんそれぞれに養鶏の技術とは何か。とお尋ねした場合、多くは飼養管理技術と答えることでしょう。
それは正解でもありますが、私たちから見ますと半分正解というところです。
その飼養管理技術を会得するには何が出来ますか。と尋ねた場合セミナーと答えたり、養鶏スクールと答える方もいましょう。
しかし、どこまでその内容を理解できるかはその人次第です。
十分わからず会得した内容は使い方次第で大きな影響を及ぼすこともあります。
昔は、技術を持つベテランがいて、細かく指導することもありましたが今はそのような人材は大変少なくなり、計器の確認等軽作業に長年従事した方が多くなりつつある感じを受けます。
そんな環境でどのような技術が生まれるのか。
答えは人それぞれですが、心配もあるように思えます。
すでに私たちと改善を取り組みして、変化した農場もあります。
今後、人材教育は必須になる時代になると確信し、今日もご指導にお伺いしております。
nogutikusan
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